カバレッジのコンポジット ライン フィーチャ: ルート

このトピックは、ArcInfo にのみ適用されます。

ルートの概要

共通の測定系を持つルートの集まりをルート システムと呼びます。ルート システムは通常、同じ属性を持つライン フィーチャを定義します。たとえば、ある郡の全バス ルートのセットはルート システムになります。

単一のカバレッジ内に多くのルート システムを存在させることができます。たとえば、都市の 1 つのカバレッジ内に、スクールバス、トラック、および救急車のルート システムを存在させることが可能です。

ルート システムはアーク、ルート、およびセクションを使用して構築され、基になるアーク - ノード トポロジを変更することなく、ライン フィーチャを正確にモデリングすることができます。

下に示したルートは、4 つのアークを使用して定義されています。ルートの端点がアークに沿っていることに注意してください。ルートは、ノードで開始および終了する必要はありません。

ルートの説明図
このルートは、4 つのアークを使用して定義されています。ルートの端点がアークに沿っていることに注意してください。ルートは、ノードで開始および終了する必要はありません。

次に示すセクションは、各ルートを定義するために使用されるアークまたはアークの一部です。それらがルート システムの基盤を形成します。

ルート セクションの説明図
セクションは、各ルートを定義するために使用されるアークまたはアークの一部です。それらがルート システムの基盤を形成します。

下の図は、事故や舗装状態などのイベントを表す際に使用可能な、マイルポスト番号やアドレスなどの距離値を含む属性の例を示しています。

ルート沿いの距離値の説明図
ルート沿いの距離値の説明図

ルート システムのルートとセクションは 2 つの INFO データ ファイルに格納されます。その 1 つはルート フィーチャクラスを定義するルート属性テーブル(RAT)、もう 1 つはセクション フィーチャクラスを定義するセクション テーブル(SEC)です。この 2 つのフィーチャクラスがルート システムを定義します。ルート フィーチャクラスとセクション フィーチャクラスは、しばしばルート サブクラスおよびセクション サブクラスと呼ばれます。これは、その多くがカバレッジ内にあり、それぞれがアーク フィーチャクラスの存在に依存しているからです。

RAT と SEC は、INFO データ ファイルとして格納されるフィーチャ属性テーブルです。RAT と SEC によって 1 つのルート システムが構成されます。ルート システムには必ず名前が必要です。たとえば、ROADS という名前のカバレッジが、スクールバスのルートを含む BUS という名前のルート システムを持つことができます。これに対応する INFO データ ファイルには、ROADS.RATBUS および ROADS.SECBUS という名前が付けられます。同様に、HAZARD という名前のルート システムは、ROADS.RATHAZARD および ROADS.SECHAZARD という名前の INFO ファイルを持ちます。

RAT と SEC のカバレッジへの格納方法

ルート システムの RAT と SEC は、参照するカバレッジ内に格納されます。ルートとセクションの整合性は、アークが編集または更新されたときに自動的に維持されます。イベントは ArcInfo カバレッジの一部ではなく、単に外部ソースからルート システムを参照します。

この図は、ROADS の RAT、SEC、および ARC ファイルがどのように組み合わせられ、BUS という名前のルート システムを実装しているかを示しています。SEC の ARCLINK# アイテムは、ARC ファイルのアーク内部番号をポイントしています。SEC ファイルの F-POS アイテムと T-POS アイテムは、アークの座標を参照しています。RAT と SEC は、SEC の ROUTELINK# および RAT の <サブクラス># で関連付けられます。

RAT および SEC 属性
RAT および SEC 属性

ライン フィーチャを表すためにルートを使用する理由

ライン フィーチャのイベントを関連付けるために、ルート システムは、アーク フィーチャを基にして構築されたルート、セクション、および計測値を使用して定義する必要があります。

ルート システムを使用してライン フィーチャを表すのは、主に次の 2 つの理由からです。

アークを使用してライン フィーチャを表すときは、交差が検出されていなくても、ライン フィーチャ沿いのいずれかの属性が変化するたびに、新しいアークを使用する必要があります。アークの分割は冗長で非効率なだけではありません。分割により、ライン フィーチャ沿いのイベントを動的に特定することができなくなります。

公益企業や運送会社だけでなく、交通機関や公安機関、消防署も、ルート メジャーを持つイベントの大容量のデータベースを維持しています。たとえば、「Highway 400 kilometer 145」は、標識の場所、出口、舗装状態、車線規制、速度制限区間、事故発生場所などの高速道路情報を記録する共通の方法を示しています。このデータは通常、ArcGIS を使用してアクセス、マップ、および解析可能な外部データベースで維持されます。

ルートの例
ルートの例

個々のイベントをマップできるだけでなく、他のイベントと関連付けることも可能です。基になるライン ジオグラフィも同じです。このようにライン沿いの個別のデータを関連付けることができるのは、トポロジ オーバーレイに似ています。これは、ラインとラインまたはポイントとラインのオーバーレイと考えることができます。ルート メジャーは位置情報を提供します。ArcGIS にはこのデータを操作するツールがあります。

ルート属性テーブル

RAT はルートを特定するアイテムを持ちます。RAT を作成すると、ユーザ定義の属性をいくつでも追加できます。最低限、RAT には次のアイテムが入ります。

ルート属性テーブル

アイテム名

目次

<subclass>#

ルートの内部番号。

<subclass>-ID

ユーザ定義のルートの識別子

ルート属性テーブル

RAT は、特定のルート システムを形成する多数のルートで構成できます。たとえば、バス ルート システムにはその都市の全バス ルートを含めることができます。次に示すのは、BUS という名前のルート システムの RAT の例です。

このルート属性テーブルは、1 ルートのバス ルートシステムをコード化する方法を示しています。

ルート テーブル
ルート テーブル

ルートは、さまざまな構造的特性を表すことができます。ルートは一般的には連続していて分岐しませんが、分岐するルート、または切断されたセクションで構成されるルートを作成することも可能です。こうしたタイプのルートは、ダイナミック セグメンテーション データ モデルで完全にサポートされます。

ルートに割り当てられるメジャーにも、さまざまな特性があります。メジャーは通常、ルートに沿って一律に、つまり決して減少することなく、増加します。メジャー システムが備えているその他の特性に、不連続メジャー(メジャー ギャップ)や重複メジャー(ルート上の 1 つの位置に存在する複数のメジャー値)があります。

RAT は常に付随する SEC と同時に作成されます。

セクション テーブル

SEC のセクション レコードにはいくつかのアイテムがあります。これらのアイテムの目的は、セクションを特定のルートにリンクすること、ルートのその部分のメジャーを定義すること、およびアーク上のセクションの開始位置と終了位置を定義することです。SEC には次のアイテムがあります。

セクション テーブル

アイテム名

内容

ROUTELINK#

セクションが属するルートを特定します(RAT 内部番号)

ARCLINK#

セクションが参照するアークを特定します(ARC および AAT ファイルのアーク内部番号)

F-MEAS

セクションの開始メジャー

T-MEAS

セクションの終了メジャー

F-POS

セクションの開始位置(開始ノードからのアーク沿いのパーセンテージ値として定義されます)

T-POS

セクションの終了位置(開始ノードからのアーク沿いのパーセンテージ値として定義されます)

<サブクラス>#

セクションの内部番号

<サブクラス>-ID

ユーザ定義のセクションの識別子

セクション テーブルのフィールドについて概説します。

ルート内のすべてのセクションで、ROUTELINK# の値は RAT のそのルートの <サブクラス># と同じです。これにより、ルートがそのセクションにリンクされます。リンクは、そのセクションなしに存在できません。

SEC を作成すると、ユーザ定義の属性をその SEC にいくつでも追加できます。ただし通常、属性は SEC に格納されません。ルート全体を説明した属性は RAT に格納されます。ルートの一部を説明した属性はイベントとして格納されます。

セクションを定義する方法

このセクション テーブルは、BUS という名前のルート システムのセクションをコード化する方法を示しています。テーブルには 1 つのルートに属する 3 つのセクションが含まれています。セクション 1 は、アーク 7 沿いの 40 ~ 100% の間に定義されています。セクション 2 はアーク 8 のすべてとして定義されます。セクション 3 は、アーク 9 沿いの 0 ~ 30% の間に定義されています。

ルートのセクションをコード化する方法
ルートのセクションをコード化する方法

セクションの位置

アーク上のセクションの位置は、開始値と終了値として SEC に格納されます。これらの値は、アークの開始ノードからのアーク沿いのパーセンテージ値を示します。たとえば、上の図で、最初のセクションは、アーク 7 上の 40% から 100%(アークの終端)までに位置しているため、F-POS および T-POS の位置アイテムが 40 から 100 としてコード化されます。上の図は、アークがルートと同じ方向を向いていると想定しています。いずれかのアークがそのアークを通るルートとは反対の方向を向いている場合は、SEC の開始位置アイテムと終了位置アイテムの値が逆になります。

セクション メジャー

SEC のメジャーは、ルート内のセクションの順番を指定します。これらの値は、セクションの両端に関連付けられています。メジャーは ArcInfo によって自動的に計算できますが、デフォルトではアークの長さが使用されます。たとえば、上の図の最初のセクションはバス ルートの出発点です。このアークの長さは 90 単位です。この長さの 60% は 54 単位になります。したがって、開始メジャーはゼロ、終了メジャーは 54 と入力されます。

通常、関連する RAT は SEC と同時に作成されます。ただし、付随する RAT なしで SEC を作成することも可能です。関連する RAT を持たない SEC のことを、ルートレス セクションを持つ SEC と言います。RAT なしではイベント データを表示し、操作することができないため、ルートレス セクションの作成と使用はお勧めできません。


7/10/2012